a. 排水容積を船首下方部に多く配置し、航走中この空洞部に船首波第1波を吸い込み、船首波系(BOW WAVES)又は八手渡(DIVERGING WAVES)の発生を押え、造波によるエネルギー損失、即ち造波抵抗を軽減する。
b. CPを減少させることなくして喫水線付近の水線水切角をより小さくし、船体平行部に接続する肩部の流線をゆるやかにして、前後肩波(SHOULDER WAVES)の発生を押え、前項と同様に造波抵抗を軽減する。
c. 球状船首船は高速になると船首波第1波頂が前方に移動して、船の長さLが増大したのと同様な効果を生じる。
(2)考慮すべき点
a. 適当な球(BULB)の大きさは船型及び船速によって変化するので、全速度範囲を通じて利益を得ようとするのは難かしい。
なお、フルード数0.16以下及び0.35以上では良い成績を期待しがたい。
b. 波浪中における推進性能は、他の船首形状(直立船首、傾斜船首、クリッパー船首)の船より劣る。
c. 喫水やトリムの一定しない船には不適。
d. 特に太短い船が速長比V/√L=1.81又はそれ以上の高速を比較的小馬力で出したい時には、AFP/AMが特に大きい球状船首を必要とする。当然浸水表面積の増大を伴うから低速域では全抵抗が増し、高速域では波浪による喫水やトリムの変化によりBULBに波の衝撃を受け、大型船のような球状船首による利得は望めない。